そいつの質問に、人は必ず答えてしまう。一問だけ 本作は UN-GO 因果論のノベライズである。因果論だけでなく、新十郎達が日本に来る前の前日談も含まれている。一見するとライトノベルのような表紙だが、ハヤカワ文庫であり、挿絵も一切ない。解説もあり、早川のミステリと取るべきだろう。
アニメでは語られなかった部分が補完されており、また新たな視点でアニメを見る事もできよう。特に前日談は日本に来る前という事もあり、アニメ本編の日本での事件解決とは違った観点を与えてくれる。アニメに新たな視点を提供するよいノベライズだ。
因果論は探偵として関わった事件ではない。新十郎は前日談で探偵、本編でも探偵だが、因果論はあくまで関係者であって探偵ではない。だからアニメであれだけ拘っていた"謎"がほとんど出てこない。それに該当するのは"ミダマ"である。
探偵としての新十郎は、探偵である以上、謎を解かねばならない。しかし、探偵でなければ謎は解かれるべきものとは限らない。それでもミダマは存在する。人の奥底に潜んでいる。
一方、因果はミダマを喰まねばならない。因果にとって謎というのは新十郎が与えるミダマの1形態でしかない。しかも、質問をせねば謎はミダマとして摂取できない、非常に厄介な形態だ。謎というのは新十郎とのミダマ契約の制約なのだ。
謎というのはこの2人の妥協点なのだ。自分のミダマが分からない新十郎と、ミダマがなければ生きていけいないイ因果。それを確認するのがこの因果論である。2人の出会った頃に遡り、埋没させていた自分のミダマを思い出させる。そして、また探偵を始める。ミダマを謎に変え、それを解決していく。そうして生きていくのである。
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