数奇にして模型 -NUMERRICAL MODELS- (森博嗣)
2009-02-25
余裕を失うことほど、幸せなことは、人間にはないだろう。
寺林がまるで異常者であるかのようだった。
だがむしろ、寺林に少なからず共感してしまう私がいる。
価値観がはっきりすればするほど、それは強い衝動となり、他の物を飛び越えてしまうのだ。
勿論、価値観のために他人を犠牲にするのがよいとは思えないし、そんなことはできない。
しかし、それを異常とはいえない。
少なくとも彼にとっては、その異常という概念は必要ない。
所詮、異常は正常を作るために定義されたにすぎないからだ。
逆にいえば、異常という概念がなければ、正常は存在しえない。
更に、正常というのは安心感を得るためのものでしかない。
結局のところ、その安心感というものに対する欲求がなければ、異常は発生しないのだ。
だから寺林のようなタイプは、自己の価値観を世間と比較して異常を認識するしかない。
そう考えてみると、シャープなんだろうと思う。
だが、シャープである事がいいとは限らない。
仮に良くても、いつまでもシャープでいるとも限らない。
磨き方が悪ければ、刃こぼれするだけなのだ。
さて、打って変わってフィギュアのお話。
書かれた当時とは今ほどオタクのイメージが異なっているようである。
金のかかる趣味だから、大人のホビーといった様子。
今では、現実から目をそむけた人の嗜好といったイメージに近付きつつある。
当時は萌絵はあれども、萌えはなしといったところだろうか。
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